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| 『薩摩しこん染め』の誕生まで 岩手県の南部地方には南部紫根染めというのがあり、静岡のわさび、奄美の黒糖などと同じく門外持出し禁制の物として藩で厳しく管理されていたようです。南部紫根染めをなんとか大島紬に取り入れられないかと、岩手の方にご相談いたしました所、今でも門外不出との事で手に入れる事が出来ませんでした。一時落胆いたしましたが、「何とかなるさ」と開き直った時、そうだ、鹿児島には紫芋があるでわないかと、気付きました。それから色々な文献を漁り、その道の方々にご指導、アドバイスを頂き乍ら挑戦してみました。遂に出来ました、出来ましたよ、ついに。綺麗な色が魔法のようにファーツと浮かび上がって参りました。とても神秘的な現象でした。ただ南部紫根の場合は赤味が強いですが、紫芋の場合は青味が強く出て来るようです。北国は太陽の陽射し弱いからその分太陽の赤色を、逆に鹿児島は有り余る程の太陽の陽射しがあるから涼しい青の色を神様が授けて下さったのではと、自然の営みの神秘さに感動致しました。それで南部紫根染めに対しまして『薩摩紫根染め』と命名致しました。写真でお伝え出来なく残念ですが、水分が飛んで乾燥するにつれ、優しい、穏やかな、品のある青味を帯びた紫の色が浮かび上がってくる光景は、自然が創つてくれたドラマのようで、この仕事を頂いた幸せを感じ、味わつています。この『薩摩紫根染め』の技法をこれからあらゆる所に挑戦してみたいと思っております。 |